随想舎刊行
新編「足利浪漫紀行」
知られざる歴史を訪ねて

日下部高明・菊池卓 著

 平成3年3月に「足利浪漫紀行」は生み出された。
前年の夏以降、宇都宮の出版社である随想舎のスタッフの地方文化に賭ける情熱と教員生活の余暇の大半を足利とその周辺の歴史調査に傾けてきた、日下部高明、菊地卓、両氏の並々ならぬ悪戦苦闘によって、その産声が上げられた。

 発行後じわりじわりと評価を積み重ねて、初編では触れられていなかった地域やテーマに多くの指摘やリクエストを集めたらしい。当然足利にはまだまだたくさんの知られざる歴史が残されていると新編の扉書きでも日下部氏は述べている。

 平成7年12月、足利市北方にある樺崎町の谷間に多くの歴史好きの市民が集まった。平成元年に改修が済みすっかりきれいになった樺崎八幡宮がそこにある。このお宮の改修を手がかりに、源姓足利氏ゆかりの多くの遺跡がその周辺から発掘され、その説明会が開かれた。ここにあったのは中世の浄土式庭園を持つ足利氏ご霊廟を有する絢爛たる寺院だという。さらに多くの注目すべき新事実が続々と推定されてくる。まさに足利歴史の大きな新発見だった。

 この多くの歴史の新発見と熱心な市民の郷土の歴史に寄せる情熱がが両氏の「足利浪漫紀行」を見直したいという心を動かした。その結果がここに紹介する「新編足利浪漫紀行」である。郷土の歴史を大切に思う市民としてもこの刊行には大きな価値を見いださなければならない。とかく難しく、うとまれる歴史というジャンルを日常的な目線の解説と散策がてらという発想で、いかにも読みやすい歴史書となっている。また郷土歴史調査を熱心に進める研究家の成果を地方文化として形に残そうとする出版会社の方々の努力にも敬意を表したい。

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